梅翁園．の創業は、昭和十七年、先代の泰地成光が梅の畑地を買って栽培を行ったことに始まります。成光は、幼くして父を亡くし、十歳の時に、鍛冶屋の丁稚奉公に行きます。何事も非常に熱心で、苦労を苦労とも思わず、一心の努力の結果、鍛冶業には成功しましたが、遠く離れた地方の事業だっただけに、「これからは郷土の産物を手がけて商売したい」と思い、故郷南部に帰りました。 南部に戻るとすぐに、軍隊に納めることを目的で、梅干しづくりに乗り出します。

そして終戦。昭和二十四年に東京市場開拓に進出。昭和三十年と三十三年には全国漬物品評会で農林大臣賞を受賞するまでとなりました。 和歌山の一地方の産品が、日本中のご家庭で楽しんでもらえる味になったのです。
「南高梅」の梅干しは人の手づくりに始まり、衛生的な工場で丹念につくられています。

「南高梅」は、ここみなべ町で栽培されている梅の中で、優良種の設定を行い、登録された数多くの梅の中でも特にすぐれた梅の種類です。
特に、その皮の薄さ、果肉の厚さは梅干しに最適です。
その名前は、優良品種の母木を持つ高田さんの『高』、
その後品種の改良を行った南部高校の名をとって『南高梅』とされました。

「一目１００万本　香り十里」と歌われる南部梅林をはじめ、数多くの梅林があり、梅の花が咲く2月には多くの観梅のお客様がお越しになります。
ちょうどその時、とても忙しいのが『みつばち』です。
南高梅の受粉に、みつばちは無くてはならない存在で、その働きによって作柄も影響するほどです。
みつばちからは、はちみつを頂戴するだけでなく、受粉でも助けてくれているのです。

昔ながらの梅干しの仕上げは、やはり天日干し。
ちょうど7月頃、農家さんでは塩漬けが十分できた梅を3、4日ほど土用干しし、からっと乾いたところで一粒一粒丁寧に樽に入れられます。
ここでの梅干しの塩分は約22％程度。
この梅干しをさらに調味液に漬け込みことで、さらに美味しいうめぼしになります。